組合員の岩下忠士さんと安部正彦さんは、枝の剪定(せんてい)などの作業を効率化するため、小型無人機「ドローン」の空撮画像を活用する取り組みを進めている。ブドウ棚の上から生育状況を客観的に分析することで、品質向上や新規就農者の定着につなげる狙いがある。

きっかけは2年前、栽培を始めたばかりの安部さんが岩下さんに「剪定のやり方が分からない」と相談をしたことだった。岩下さんは20年以上ブドウ栽培を続けているが、長年の作業を通じて蓄積がある自分のブドウ棚以外で指導するのが難しいと感じた。

剪定は、12~2月ごろ、ブドウ棚をはうように伸びる枝を切っていく作業。風や日当たりを考慮しながら、枝に栄養が行きわたるよう計算して切る必要がある。農家は身長よりも低い棚の下に潜り込み、狭い範囲を肉眼で剪定すべき枝を選んでいく。収量や品質を左右する重要な作業だが、新規就農者の中には難しさから栽培を断念する人もいる。

ドローン:参考画像

そこで、災害現場など広く活用されるドローンに着目。すぐに1機を購入した。初めて自分のブドウ棚の全体像を目の当たりにした岩下さんは、想像よりも偏った剪定をしていたことに驚いた。JA梨北の協力や一般社団法人「農林水産業みらい基金」からも助成を受けて、開発を進めてきた。

ドローンからデジタル撮影した画像を複数枚重ねることで「見える化」が進み、間伐すべき枝が判断しやすくなった。また、剪定のみならず、ブドウの房をより分ける「摘房」の作業にも応用しようと開発を進めている。撮影した画像から、ブドウが実る末端の枝を自動で認識し、収量を予測するシステムだ。実用化すれば、農家の収入安定化にもつながると考えている。

「このままでは農家も出荷量も減り、いずれニーズに応えられなくなるのではないか」と危機感を強める。「山梨のブドウ作りを残していくためにも、新しいことを始めていく必要がある」と考えている。